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📅 2026.05.21 | RYU NAKAZAWA
🌱 視覚障害

視覚障害があっても旅行できる──ホテル選びと現地で使える工夫【全盲B2クラスの僕が2017年からの講演で複数の都道府県を回った実体験】

⏱ 約7分で読めます(4,043字)
盲導犬シュクレと中澤隆

チェックインした部屋で、まず「ベッドから右に2歩でトイレ、左に5歩でお風呂」と、手で触って確かめる。この一手間があれば、見えなくても知らない街のホテルで夜を過ごせます。

もしあなたが、視覚障害の診断を受けたばかりで「もう旅行なんて無理だ」と思っているなら。

もしくは、視覚障害のあるご家族を旅行に連れて行きたいけれど、何に気をつけたらいいか分からないなら。

この記事は、あなたのためのものです。

僕は中澤隆。27歳で緑内障と診断され、31歳で視覚障害B2クラス(右目は5円玉の穴から覗いているような視野、左目は目の前でグーチョキパーがわかる程度)になりました。

それでも僕は、トライアスロンの大会で全国20都道府県以上を回ってきました。2017年から講演を続け、ここ3〜4年は年間50回前後で各地を訪れ、盲導犬シュクレと一緒にホテルに泊まり、地方の街を歩いてきました。

「見えないから旅行は無理」じゃなくて、「見えなくても、工夫すれば旅行できる」。この記事では、僕が実際に9年間で積み重ねてきたホテル選びのコツと、現地で役立つ工夫をすべて書きます。

📖 この記事の目次
  1. 視覚障害者にとって「ホテル選び」が最初の壁になる理由
  2. 視覚障害者が安心できるホテルの選び方【実体験から3つのポイント】
  3. 視覚障害者が現地で使える5つの工夫
  4. 視覚障害があっても旅行を楽しむために「工夫」と「勇気」があればいい
  5. まとめ:視覚障害者が安心して旅行するための5つのポイント
  6. もっと詳しい体験談や日常の工夫を知りたい方へ

視覚障害者にとって「ホテル選び」が最初の壁になる理由

旅行を諦める理由の多くは、「移動が怖い」「宿で迷惑をかけそう」という不安です。

僕自身、最初のころは予約の電話をかけるだけで緊張しました。

「盲導犬がいることを伝えたら断られるんじゃないか」

「視覚障害があるって言ったら、部屋を用意してもらえないんじゃないか」

実際、盲導犬との外出では飲食店で入店拒否されることもあります。だから、ホテル選びも「相手に受け入れてもらえるか」が大きなハードルでした。

でも、9年間でわかったことがあります。

事前に伝える、具体的に伝える、丁寧に伝える──この3つをやれば、ほとんどの宿は受け入れてくれます。


視覚障害者が安心できるホテルの選び方【実体験から3つのポイント】

1. 予約時に必ず「視覚障害がある」と伝える

ネット予約だけで済ませず、電話で一言添えるだけで安心感が違います。

僕はいつも、予約後に電話をかけてこう伝えます。

「視覚障害があり、盲導犬と一緒に宿泊します。チェックイン時にサポートが必要な場合がありますので、事前にお伝えしておきます」

これだけで、当日スタッフさんが準備してくれていることが多いです。フロントでの待ち時間も短くなるし、部屋までの案内もスムーズ。

「言ったら断られるかも」より、「言わずに現地で困る方がつらい」。これが僕の経験則です。


2. 構造がシンプルな宿を選ぶ

視覚障害者にとって、複雑な構造の宿は迷路です。

僕が選ぶ基準はこの3つ:

リゾートホテルや旅館よりも、ビジネスホテルの方が構造がシンプルで迷いにくいです。

特に、チェーン系のビジネスホテルはフロアごとの配置がほぼ同じなので、一度覚えれば他の階でも応用できます。

IRONMAN みなみ北海道の前泊でも、毎年同じビジネスホテルを選んでいます。構造を覚えているから、朝3:30起床でも迷わずロビーに行けます。


3. ユニバーサルルームにこだわらなくていい

「視覚障害者ならバリアフリールームじゃないとダメ」と思っていませんか?

僕は基本的に普通の部屋を選びます。

ユニバーサルルームは車椅子利用者向けに設計されていることが多く、視覚障害者にとって使いやすいわけではありません。むしろ、部屋が広すぎると逆に動線を把握しにくくなります。

僕が気にするのは、部屋の中で迷わないこと。だから、チェックイン後に最初にやるのは「部屋の動線確認」です。

ベッドから右に2歩でトイレ、左に5歩でお風呂──これを触って確認しておくだけで、夜中にトイレに行くときも迷いません。


視覚障害者が現地で使える5つの工夫

1. チェックイン時に「部屋の配置」を口頭で説明してもらう

フロントで鍵を受け取るとき、僕はいつもこう頼みます。

「部屋の配置を口頭で教えてもらえますか?」

スタッフさんが部屋まで案内してくれることも多いのですが、その場で「ドアを入って右がトイレ、左がクローゼット、正面にベッドです」と言ってもらえるだけで、視覚的な地図が頭に入ります。

紙の案内図を渡されても、僕は白い紙に黒文字は見えません。だから、口頭での説明が一番助かります。


2. 盲導犬がいる場合は「犬用の水とトイレ場所」を確認

シュクレと泊まる時は、事前に宿に2つ確認します。

全国で約1,000頭しかいない盲導犬ですが、宿のスタッフさんは意外と慣れていないことが多いです。だから、こちらから具体的に聞く方がスムーズ。

シュクレは毎日ブラッシングして、外出時は犬用コートを着せて毛が落ちないようにしています。雨の日はレインコート。これだけで、宿側の不安もかなり減ります。


3. 朝食バイキングは「スタッフに一度案内してもらう」

バイキング形式の朝食は、視覚障害者には難関です。

どこに何があるか分からない。人がぶつかる。トレイを落としそうになる。

僕は最初の1回だけ、スタッフさんに「料理の配置を教えてもらえますか?」と頼みます。

「入口から右が和食、左が洋食、奥がドリンクです」と一度聞けば、2日目以降は自分で動けます。

もし難しければ、朝食を部屋食に変更してもらえるか相談するのもありです。無理に頑張らなくていい。工夫して、楽になる方法を選ぶ。それが旅行を続けるコツです。


4. 音声案内アプリ「NaviLens」を使う

最近、一部の施設で導入されている「NaviLens」というアプリがあります。

専用のQRコードを読み取ると、音声で施設の情報を案内してくれるシステムです。空港や駅、一部のホテルで導入が進んでいます。

僕自身はまだ使う機会が少ないのですが、今後増えていけば視覚障害者の旅行がもっと楽になると期待しています。

旅行前に、泊まる予定の宿が導入しているか調べてみるといいかもしれません。


5. 「困ったら人に頼る」を恥ずかしがらない

これが一番大事です。

僕も昔は「迷惑をかけたくない」と思って、困っていても声をかけられませんでした。

でも、9年間で20都道府県を回ってきて分かったことがあります。

人は、頼られると嬉しい生き物です。

IRONMAN みなみ北海道の前日、ホテルにトライスーツを忘れて試泳に行ったことがあります。途中でコンビニに寄った時、スタッフさんに「トイレの場所を教えてください」と声をかけました。

すると、「案内しますね」とレジから出てきて、一緒に歩いてくれました。

頼ることは、弱さじゃない。一緒に解決する、対等なチームです。


視覚障害があっても旅行を楽しむために「工夫」と「勇気」があればいい

僕は、見えなくなった時に「未来がないんじゃないか」と思いました。

でも、トライアスロンを始めて、講演で全国を回るようになって、「見えなくても行ける場所がこんなにある」と知りました。

2024年にはIRONMAN みなみ北海道で13時間14分17秒で完走し、翌2025年には15時間08分45秒で2位。視覚障害者のギネス記録「11時間03分」を目指して、今も挑戦を続けています。

旅行も同じです。

「見えないから無理」じゃなくて、「どうやったら行けるか」を考える。ホテルを選ぶ。事前に伝える。現地で工夫する。人に頼る。

それだけで、旅行は続けられます。


まとめ:視覚障害者が安心して旅行するための5つのポイント

予約時に「視覚障害がある」と必ず伝える

構造がシンプルな宿を選ぶ(ビジネスホテルが◎)

チェックイン時に部屋の配置を口頭で説明してもらう

朝食バイキングはスタッフに1度案内を頼む

困ったら人に頼る──それは弱さじゃなく、対等なチーム

「できるか、できないか」じゃなくて、「どうやったらできるか」。

この工夫が、あなたの旅行を支えてくれます。


もっと詳しい体験談や日常の工夫を知りたい方へ

僕は今、noteマガジンで視覚障害者の日常、トライアスロンへの挑戦、盲導犬シュクレとの暮らし、講演活動のリアルを発信しています。

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中澤隆(なかざわ りゅう)

視覚障害B2クラス / パラトライアスリート / 講演家 / 盲導犬ユーザー

IRONMAN視覚障害者ギネス記録「sub11時間」挑戦中

メール: passnaka@gmail.com


🌱 おなじ不安の中にいるあなたへ

僕が視覚障害になってから今日までの道のりを、16分の動画にまとめています。文章より、声のほうが届く日もあると思うから。よかったら、そばに置いておいてください。

▶️ 動画「目が見えないのに、226km。」 📖 27歳、緑内障と診断された日|過去の自分に届けたい言葉

最後まで読んでくれて、ありがとうございます

中澤の挑戦を、これからも見届けてもらえたら嬉しいです。日々の練習やレース、盲導犬シュクレとの暮らしを発信しています。

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