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📅 2026.05.25 | RYU NAKAZAWA
🌱 視覚障害

視覚障害者が受けられる助成金を、27歳で緑内障になった僕が使った経験から解説

⏱ 約7分で読めます(3,902字)
レース会場でタンデム自転車と中澤隆

白い紙に黒い文字は、僕にはもう見えません。でも、黒い紙に白い文字に反転して拡大すれば、読める。その拡大読書機は、購入費用の9割を自治体が負担してくれました——「知って、申請した」から手に入った一台です。

もしあなたが、視覚障害の診断を受けたばかりで「これから生活をどう立て直せばいいのか」「経済的な不安で押しつぶされそう」と悩んでいるなら、この記事はあなたに向けて書いています。

僕は中澤隆。27歳で緑内障を発症し、31歳で視覚障害者になりました。右目は5円玉の穴から覗いているような感じ、左目は目の前でグーチョキパーがわかる程度。

あの頃の僕は、13年勤めた会社から事実上のクビを言い渡され、「未来がないんじゃないか」と絶望していました。でも今は、盲導犬シュクレと一緒に暮らし、アイアンマン226kmに挑戦し、2017年から講演を続け、ここ3〜4年は年間50回前後をしています。

ここまで来られたのは、助成金や制度を「知って、使った」からです。知らないままでいたら、今の僕はありません。

この記事では、僕が実際に使った助成金今だから言える「最初に知っておけばよかった」ことを、できるだけ具体的にお伝えします。

視覚障害者が受けられる助成金、まず押さえるべき3つ

助成金や制度は山ほどありますが、最初に押さえるべきものは以下の3つです。

障害者手帳の取得(すべての制度のスタート地点)

障害年金(生活の土台)

自治体の助成・サービス(実は一番身近)

僕はこれらを知るまで、かなり時間がかかりました。理由は単純で、どこに何を聞けばいいかわからなかったからです。だからまず、「誰に聞けばいいのか」から書きます。

最初の窓口は「役所の障害福祉課」と「眼科の相談員」

僕が最初にやったのは、住んでいる市区町村の役所に電話をしたことです。「障害福祉課」や「福祉事務所」と呼ばれる窓口があります。

「視覚障害と診断されたんですが、どんな支援が受けられますか」

この一言で、担当者が制度の一覧を教えてくれます。実は、制度って「申請しないともらえない」ものがほとんどです。自動で支給されるわけじゃない。だから、まず聞くことが大事です。

もう一つ頼れるのが、眼科の医療ソーシャルワーカー(MSW)や視覚障害者支援センター。病院にいる相談員さんは、医療と福祉の両方に詳しいです。僕も何度も助けられました。

障害者手帳があると、何が変わるのか

障害者手帳(視覚障害の場合は「身体障害者手帳」)は、あらゆる支援の入り口です。これがないと、ほとんどの制度が使えません。

僕が手帳を取得してから変わったこと:

手帳の等級(1級〜6級)によって受けられる支援が変わります。僕はB2クラス(視覚障害)ですが、具体的な等級は医師の診断書をもとに決まります。

手帳取得の流れ:

眼科で「身体障害者診断書・意見書」を書いてもらう

役所の障害福祉課に申請

審査後、手帳が交付される(約1〜2ヶ月)

「手帳を持つこと」に抵抗を感じる人もいると思います。僕も最初はそうでした。でも、これは権利です。使える制度は使っていい。それで生活が少し楽になるなら、使わない手はありません。

障害年金:生活の土台を支える制度

障害年金は、病気やケガで働くことが困難になった人が受け取れる年金です。僕も受給しています。

障害年金には2種類ある

障害基礎年金(国民年金加入者)

障害厚生年金(厚生年金加入者、基礎年金に上乗せ)

僕の場合、会社員時代に緑内障を発症したので、障害厚生年金の対象でした。金額は等級や加入期間によって変わりますが、生活の土台になります。

申請のポイント

僕が後悔しているのは、もっと早く申請すればよかったこと。「まだ大丈夫」と思っていたら、生活が苦しくなってから慌てて申請しました。該当するなら、早めに動いた方がいいです。

自治体ごとの助成・サービス(意外と見落としがち)

国の制度以外に、住んでいる自治体ごとの助成があります。これが意外と使える。

僕が実際に使ったもの:

特に拡大読書機は、生活が一変しました。白い紙に黒文字は見えないけれど、黒い紙に白文字にして拡大すると読める。これで本やパソコンが使えるようになりました。

ただし、自治体によって内容が全然違います。東京都内でも区によって違う。だから、自分の住んでいる市区町村の障害福祉課に直接聞くのが一番確実です。

仕事関連の助成:雇用されている場合

もしあなたが視覚障害になっても働き続けたいと思っているなら、企業側が使える助成金もあります。

僕は現在、サイネオス・ヘルス・ジャパンにアスリート雇用で所属しています。企業側が障害者雇用の制度を理解していると、働きやすさが全然違います。

もし今の職場で続けるのが難しいなら、障害者就労支援センターハローワークの専門窓口に相談してみてください。僕は一度会社を辞めましたが、大学(筑波技術大学)に入り直し、資格(あん摩マッサージ指圧師)を取ることで次の道を見つけました。

盲導犬の貸与も「助成」の一つ

僕は2022年に盲導犬シュクレと出会いました。盲導犬は無償で貸与されます(購入ではなく、協会から貸してもらう形)。

盲導犬の育成費用は約300万円。それを寄付や助成金でまかなっています。僕たちユーザーは、食費や医療費は自己負担ですが、犬そのものの費用はかかりません。

全国の盲導犬は約1,000頭。希望しても1〜2年待ちです。僕は申し込みから約1年で出会えました。

盲導犬がいることで、外に出る勇気が出ました。「明日も見えているだろうか」と怖かった僕が、今はアイアンマン226kmに挑戦しています。

「助成金を使うこと」は恥ずかしいことじゃない

ここまで読んで、「助成金に頼るのは申し訳ない」と思った人もいるかもしれません。僕もそうでした。

でも今なら言えます。助成金は権利です

税金を納めてきた人が、困ったときに使える仕組み。それを使わないで我慢することの方が、もったいない。僕は拡大読書機があったから本が読めるようになったし、障害年金があったから大学に行けたし、盲導犬がいるから外に出られるようになりました。

「助成金を使う自分」を責める必要はありません。使って、前に進んでいい。

最後に:「知らない」が一番もったいない

視覚障害者が受けられる助成金や制度は、たくさんあります。でも、誰も勝手に教えてくれません。自分から聞かないと、存在すら知らないまま終わってしまう。

僕が一番後悔しているのは、「もっと早く知っていれば」ということ。知らなかっただけで、使えたはずの制度を使えなかった。

もしあなたが今、「これからどうすればいいかわからない」と途方に暮れているなら、まず役所の障害福祉課に電話してみてください。「視覚障害と診断されました。どんな支援がありますか?」と。

それだけで、道が少し見えてきます。

📖 この記事の目次
  1. 視覚障害者が受けられる助成金、まず押さえるべき3つ
  2. 最初の窓口は「役所の障害福祉課」と「眼科の相談員」
  3. 障害者手帳があると、何が変わるのか
  4. 障害年金:生活の土台を支える制度
  5. 自治体ごとの助成・サービス(意外と見落としがち)
  6. 仕事関連の助成:雇用されている場合
  7. 盲導犬の貸与も「助成」の一つ
  8. 「助成金を使うこと」は恥ずかしいことじゃない
  9. 最後に:「知らない」が一番もったいない
  10. 僕の体験をもっと知りたい方へ

まとめ:視覚障害者が最初に押さえるべき助成金・制度

障害者手帳の取得:すべての支援の入り口

障害年金:生活の土台

自治体の日常生活用具給付:拡大読書機、白杖など

雇用関連の支援:障害者雇用、ジョブコーチ

盲導犬の貸与:無償で貸与(希望者は申し込み)

窓口:市区町村の障害福祉課、眼科の相談員(MSW)、視覚障害者支援センター


僕の体験をもっと知りたい方へ

僕は視覚障害になってから、トライアスロンを始め、結婚し、大学を卒業し、アイアンマンに挑戦しています。「見えないから終わり」じゃなくて、「見えなくても、できることはある」。

noteでは、もっと具体的な体験談や日々の工夫を書いています。よかったら読んでみてください。

📖 noteマガジンを読む(後日公開予定)

Instagramでは、盲導犬シュクレとの日常やトレーニング風景を投稿しています。

📷 @ryu__nakazawa(Instagramアカウント)

「転んでも、また立てる」

一緒に、前に進みましょう。


🌱 おなじ不安の中にいるあなたへ

僕が視覚障害になってから今日までの道のりを、16分の動画にまとめています。文章より、声のほうが届く日もあると思うから。よかったら、そばに置いておいてください。

▶️ 動画「目が見えないのに、226km。」 📖 27歳、緑内障と診断された日|過去の自分に届けたい言葉

最後まで読んでくれて、ありがとうございます

中澤の挑戦を、これからも見届けてもらえたら嬉しいです。日々の練習やレース、盲導犬シュクレとの暮らしを発信しています。

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