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📅 2026.07.13 | RYU NAKAZAWA
🌱 視覚障害

iPhoneとSiriが僕の秘書|音声でタスクを回す方法

⏱ 約8分で読めます(4,953字)

夜、暗い部屋で目をつぶったまま、iPhoneに「明日やることをメモ」と話しかける。翌日のタスクを10個、声で吹き込んでおく。これが、細かい文字が見えない僕の、いちばん効いている習慣です。

もしあなたが、「毎日のタスク管理が、どうもうまくいかない」と感じたことがあるなら——。

もしあなたが、目や手が思うように使えない場面で、「どうやって段取りを回せばいいんだろう」と悩んだことがあるなら——。

もしあなたが、スマートフォンの音声機能を、「もっと生活に活かせないかな」と思っているなら——。

この記事は、あなたのためのものです。

こんにちは。視覚障害B2クラスのパラトライアスリート・中澤 隆(なかざわ りゅう)です。盲導犬シュクレと暮らしながら、IRONMAN(226km)のサブ11時間に挑み、年間50回前後の講演をしています。

今日は、ちょっと実用的な話をします。見えない僕が、毎日のタスクや段取りを、どうやって回しているか。答えはシンプルです。iPhoneとSiri、つまり音声の力を借りています。画面の細かい文字が読めなくても、声でなら、段取りは回せる。僕が実際にやっている方法を、体験そのままにお伝えします。特定の商品を宣伝するつもりはありません。あくまで、僕の生活のリアルです。

📖 この記事の目次
  1. 見えなくても、声でなら段取りは回せる
  2. 僕のいちばんの習慣——前の夜に、翌日のタスクを声で吹き込む
  3. リマインダーは、「忘れる前提」で頼る
  4. 文字を打つより、しゃべったほうが速い
  5. 僕の一日を、声がどう支えているか
  6. 「声で回す段取り」は、誰の役にも立つ
  7. あなたも、声を味方につけてみませんか

見えなくても、声でなら段取りは回せる

視覚障害B2クラスの僕にとって、スマートフォンの小さな文字を読んだり、細かい操作をしたりするのは、簡単なことではありません。でも、だからといって、タスク管理を諦めているわけではありません。声を使えば、段取りはちゃんと回せるからです。

僕がいつも頼りにしているのが、iPhoneに入っている音声アシスタント「Siri」です。話しかけるだけで、メモを取ってくれたり、リマインダーをセットしてくれたり、予定を教えてくれたりする。これが、僕にとっての「秘書」のような存在になっています。目で確認しなくても、耳と声だけで、一日の段取りが組める。これは、見えない僕の生活を、ぐっと楽にしてくれました。

🔑 ピンチはチャンス、カギは工夫

細かい文字が見えないのは、確かにピンチ。
でも、「声で操作する」という工夫を覚えたとき、それはチャンスに変わった。

見えないからこそ、音声の便利さを誰よりも実感しています。

大事なのは、「見えないからできない」と諦めるのではなく、「見えなくてもできる方法」を探すことです。僕にとって、その方法の一つが、音声だった。手段を変えれば、できることはたくさんある。これは、視覚障害の有無に関わらず、誰にとっても役に立つ考え方だと思います。

正直に言うと、最初から音声を使いこなせていたわけではありません。話しかけてもうまく聞き取ってもらえなかったり、思った通りに動いてくれなかったりして、何度も「もういいや」と投げ出しそうになりました。でも、少しずつ慣れていくうちに、コツが分かってきた。ゆっくり、はっきり話す。短い言葉で頼む。そうやって、僕と音声アシスタントの「呼吸」が合ってきたんです。道具は、最初から完璧に使えなくていい。使いながら、自分との相性を育てていけばいい。これも、僕が生活の中で覚えた工夫の一つです。


僕のいちばんの習慣——前の夜に、翌日のタスクを声で吹き込む

僕が毎日やっている習慣の中で、いちばん効いているのが、これです。前の夜に、翌日やることを、声でメモに吹き込んでおく

夜、一日が終わって落ち着いた頃、僕はiPhoneに向かって話しかけます。「明日やることをメモ」。そして、頭に浮かんだ翌日のタスクを、思いつくまま、声で吹き込んでいく。練習のこと、講演の準備、連絡しなきゃいけない人、買っておくもの。10個くらい、声でリストにしておきます。書くのではなく、しゃべるだけ。これなら、暗い部屋でも、目をつぶっていても、できます。

朝の自分を、夜の自分が助けてあげる。
前の夜に声で吹き込んだ10個が、
翌朝の僕の地図になります。

なぜ「前の夜」なのか。それは、朝になってから「今日、何をしようか」と考え始めると、頭がぼんやりして、抜け漏れが出るからです。でも、前の夜にやることを決めて声に残しておけば、翌朝はそれを聞くだけ。考える作業と、実行する作業を、分けておくんです。これは、見えるか見えないかに関わらず、すごく効く方法だと思います。朝の自分を、夜の自分が助けてあげる感覚です。

それともう一つ、この習慣には、心を軽くしてくれる効果があります。やることを声に出して外に置いておくと、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と頭の中でぐるぐる考え続けずに済むんです。頭の中に抱えたままだと、不安になるし、眠りも浅くなる。でも、声に出してiPhoneに預けてしまえば、「もう忘れていい」と思える。頭の中の心配ごとを、外に出して、道具に預ける。これは、見えない僕にとってだけでなく、忙しい毎日を送る誰にとっても、心を守る工夫になると思います。


リマインダーは、「忘れる前提」で頼る

僕は、自分の記憶力を、あまり信用していません。これは、見えないこととはあまり関係なく、単純に「人は忘れる生き物だ」と思っているからです。だから、大事なことほど、リマインダーに任せます

「明日の朝7時に、◯◯さんに連絡」「水曜日にゴミを出す」。こういう用事は、声でSiriに頼んで、リマインダーをセットしておく。そうすれば、決まった時間に、iPhoneが教えてくれます。自分で覚えておこうと頑張る必要がない。覚えておくエネルギーを、別のことに使える。忘れることを前提にして、道具に頼る。これも一つの工夫です。特に僕は、練習と講演と日々の用事が重なると、頭がいっぱいになりがちです。そんなとき、覚えておくことを全部自分の頭でやろうとすると、必ずどこかがこぼれ落ちます。だから、こぼれそうなものは、片っ端からリマインダーに預けてしまう。そうすることで、頭の中に余白が生まれて、本当に集中したいことに、力を注げるようになります。

📱 道具に頼るのは、サボりじゃない

覚えておこうと頑張るより、
道具に任せたほうが、確実で、楽。

頼れるものに頼るのは、賢い段取りです。気合いで覚えようとしない。

気合いで全部覚えようとすると、必ずどこかで抜けが出るし、心も疲れます。それより、頼れる道具に頼ったほうが、ずっと確実で、ずっと楽です。リマインダーは、僕にとって、頼れる仕事仲間のような存在です。「これ、忘れそうだな」と思ったら、すぐに声でセットする。この習慣が、僕の毎日を支えてくれています。


文字を打つより、しゃべったほうが速い

メールや、ちょっとした文章を作るとき。僕は、画面に文字を一つひとつ打ち込むより、音声入力でしゃべってしまうことが多いです。話した言葉が、そのまま文字になる。これが、見えない僕にとって、本当に助かる機能です。

小さなキーボードを、見えにくい目で一文字ずつ探して打つのは、時間もかかるし、間違いも増えます。でも、しゃべるだけなら、頭で考えたことを、そのまま言葉にできる。スピードが全然違います。考えていることを口に出して、それが文字になる。この流れが、僕には合っています。「入力」という壁を、声が取り払ってくれたんです。

打つのが大変なら、しゃべればいい。
やり方は一つじゃない。
自分に合った方法を見つければ、できることは増える

もちろん、音声入力は完璧ではありません。聞き間違いもあるし、思った通りに変換されないこともあります。でも、それでも、一文字ずつ打つよりは、ずっと速くて楽です。完璧を求めるより、「今より楽になる方法」を選ぶ。これも、生活の中の小さな工夫の一つです。


僕の一日を、声がどう支えているか

少し、僕の一日の流れを紹介させてください。声が、どんなふうに僕の毎日に染み込んでいるかが、伝わると思います。

朝、起きると、まず「今日の予定は?」と声で聞きます。今日が練習の日なのか、講演の日なのか、誰と会うのか。耳で受け取って、頭の中に一日の地図を描きます。前の夜に吹き込んでおいたタスクのメモも、声で読み上げてもらう。これで、一日のスタートラインに、すっと立てます。日中、何か思いついたことや、忘れたくない用事があれば、その場で声でメモ。手が塞がっていても、歩いていても、声なら残せます。

朝、声で予定を聞く。
日中、声でメモを残す。
夜、声で明日を準備する。一日が、声で回っていく

そして夜、一日の終わりに、また翌日のタスクを声で吹き込む。この繰り返しです。僕の一日は、朝から晩まで、声で繋がっています。見えないという事情があるからこそ、僕はこの「声で回す段取り」を、誰よりも深く生活に取り入れているのかもしれません。でも、やっていることは、本当にシンプルです。特別な道具も、難しい設定も要りません。ただ、iPhoneに話しかけるだけ。それだけで、一日の段取りが、ぐっと楽になります。


「声で回す段取り」は、誰の役にも立つ

ここまで、僕が音声でタスクを回している方法を書いてきました。前の夜にやることを吹き込む。リマインダーに頼る。音声入力でしゃべる。どれも、特別なことではありません。でも、この「声で段取りを回す」やり方は、見えない人だけのものではないと、僕は思っています。

たとえば、料理をしながら手が塞がっているとき。運転中で画面を見られないとき。あるいは、たくさんのことを抱えて、頭がいっぱいになっているとき。そんなときに、声で段取りを回せると、生活がぐっと楽になります。僕が見えない中で見つけた工夫は、見える人の毎日にも、きっと役立ちます。「声に頼る」というのは、誰にとっても、強い味方になるんです。障害がある人の工夫は、特別な人のための特別な方法だと思われがちです。でも実際は、その多くが、すべての人にとって便利なものだったりします。僕の音声活用も、その一つ。見えない僕が必要に迫られて磨いた工夫が、誰かの毎日を少しでも楽にできたら、こんなに嬉しいことはありません。

🔑 1ミリの行動が、毎日を変える

「前の夜に、声で10個吹き込む」。
たったこれだけの、1ミリの行動。

でも、この小さな習慣の積み重ねが、毎日の段取りを、確実に変えていくんです。

大事なのは、立派な仕組みを作ることではありません。今日から、たった一つでいいから、声に頼ってみること。「明日やること、メモして」。その一言から、始められます。小さな1ミリの行動が、明日のあなたを、少しだけ助けてくれます。


あなたも、声を味方につけてみませんか

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。最後に、あなたに伝えたいことがあります。

毎日のタスクや段取りに追われて、頭がパンクしそうになること、ありますよね。全部を自分の記憶や、見える力だけでこなそうとすると、人は疲れてしまいます。そんなときは、ぜひ、声を味方につけてみてください。iPhoneでも、他のスマートフォンでも、今は音声で多くのことができます。難しい設定は要りません。話しかけるだけです。

僕は、見えないという事情があったからこそ、声の力に早くから頼るようになりました。でも、声で段取りを回す便利さは、見えるか見えないかに関わらず、誰にでも開かれています。「見えないからできない」ではなく、「やり方を変えればできる」。これは、タスク管理だけでなく、人生のいろんな場面で言えることだと、僕は思っています。できるか・できないかじゃなく、どうやったらできるか。この問いを持ち続けるだけで、目の前の壁は、ぐっと低くなります。僕がトライアスロンに出会えたのも、IRONMANに挑めているのも、この「どうやったらできるか」を、ずっと探し続けてきたからです。道具も、工夫も、その答えを見つけるための、大切な味方です。

見えなくても、声で段取りは回せる。あなたも、自分に合った工夫を、一つずつ見つけていってください。ピンチはチャンス、そのカギは気合いじゃなくて工夫です。一緒に、人生を現役で生きていきましょう。今日も、最後まで読んでくれて、本当にありがとう。


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「視覚障害B2の生活」「IRONMAN サブ11挑戦」「1ミリの行動」「気合いより1ミリ」をテーマに、講演を続けています。学校・企業・自治体問わず、対応可能です。盲導犬シュクレも一緒に伺うことができます。

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最後まで読んでくれて、ありがとうございます

中澤の挑戦を、これからも見届けてもらえたら嬉しいです。日々の練習やレース、盲導犬シュクレとの暮らしを発信しています。

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RYU NAKAZAWA | 視覚障害B2 パラトライアスリート・プロ講演家
盲導犬シュクレと共に、1ミリの行動を続ける人